これからの放課後等デイサービスとは?

これからの放課後等デイサービスは?            支援内容・利用方法・費用・受給者証手続き等とポイント

2020/07/9更新

 放課後等デイサービスは、障害のある学齢期の児童・生徒の学童保育のようなサービスです。放課後等デイサービスは目的、施設設備、サービス内容も多様です。学習を中心としている施設もあれば、運動を中心としている施設などそれぞれです。施設の特徴や、利用までの流れを紹介します。また、これからの放課後等デイサービスの傾向を予測します。

目次

  • 放課後等デイサービスとは何か?
  • 放課後等デイサービスの対象は?
  • 放課後等デイサービスの内容は?
  • 放課後等デイサービスの利用方法について
  • 放課後等デイサービスのこれからの傾向について

1 放課後等デイサービスとは何か?

 放課後等デイサービスとは、障害のある学齢期の児童生徒(小学生・中学生・高校生)が学校の授業終了後や長期休暇中に利用できる施設です。放課後等デイサービスでは、生活能力の向上と社会との交流を目的に、様々な支援が行われています。体操教室、音楽教室、パソコン教室、製作美術・造形など習い事に近い内容の施設もあれば、専門的な療育(治療教育)を提供している施設もあります。

 放課後等デイサービスは2012年の児童福祉法改正により、障害児通所支援の一つとして設置されました。(以下児童福祉法 第六条の二の二)この法律によると、放課後等デイサービスとは、「学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第一条 に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センターその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう。」と、示しています。

出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail… 

法改正前は、障害種類別に施設が分かれていました。改正をきっかけに、年齢や目的別に児童発達支援 ・医療型児童発達支援 ・放課後等デイサービス ・保育所等訪問支援へと再編成されました。今まで不足していた障害児施設を増やすため大幅な規制緩和がなされました。その結果、住んでいる地域で、乳幼児の頃から高校を卒業するまで一貫したサービスを受けられるようになりました。

 現在、多くの放課後等デイサービスが設置され、利用児も複数の施設に通うことができるようになりました。やっと、施設を選択することができるようになりました。

2 放課後等デイサービスの対象は?

放課後等デイサービスを利用できる対象児は以下の通りです。

  (1) 障害のある児童

 対象児童は、身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児を含む)です。   

引用:児童福祉法の一部改正の概要について|厚生労働省 平成24年

出典:https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushien/dl/setdumeikai_01…

 放課後等デイサービスの対象は、障害のある児童ですが、療育手帳や障害者手帳がなくても施設を利用できます。放課後等デイサービスの必要性が認められ、医師等専門家の意見書などを作成し、受給者証を市区町村で発行してもらいます。この受給者証を取得することで通所の申し込みが可能です。原則1割負担でサービスを利用することができます。

  (2) 就学している児童とは?

 就学している児童とは、学校教育法に基づく(幼稚園、大学を除く)小学校、中学校、高等学校に通っている児童・生徒です。年齢では6歳~18歳です。ただし引き続きサービスを受けなければその福祉を損なう恐れがある場合、満20歳に達するまで利用が可能です。

3 放課後等デイサービスの内容は?

  利用目的や各施設の特徴によってタイプがあります。放課後等デイサービスも多機能・特化の傾向があります。大きく分けて3つの型があります。

 (1) 教室・学習塾タイプ(習い事型

 運動・体操や音楽・楽器の演奏、書道や絵画・造形などに特化した施設です。体操教室、音楽教室、美術教室に通う、お習い事感覚の放課後等デイサービスです。中・高生向けに将来の就労を見据え、IT技術や文字・数の補習塾のような作業前学習を行う放課後等デイサービスも存在します。

 (2) 社会的交流・居場所タイプ(学童保育型)

 自由に過ごす時間が多い施設です。習い事型、療育型のように特定のプログラムに特化しておらず、掃除や料理、服の畳み方、社会ルールや友達とのかかわり方など、生活に必要な能力を養う時間と、自由に宿題をしたり、遊んだりする時間に分かれている施設が多いです。放課後の障害児の居場所として社会的な交流を大切にしています。

 (3) 治療教育・発達支援・訓練タイプ(療育型

 専門的な療育を行っている施設です。認知面、行動面、言語面など様々な発達的観点から個人に合わせた療育を行います。ソーシャルスキルトレーニングやモンテッソーリ―法やシュタイナー教育、またソーシャルスキルトレーニングなど行う施設から、施設独自の療育プログラムを行うところも増えています。施設によっては理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、公認心理師等心理専門職など専門資格を有している施設もあります。

 (4) その他の内容

 ■地域交流の機会の提供

 障害のある児童の社会経験や生活経験が豊かになるよう、地域交流を積極的に行っている施設もあります。夏休み・冬休みの期間や土曜日・日曜日を利用し、動物園や工場見学などへの遠足や社会科見学を実施する場合もあります。

 ■余暇の提供

 障害のある児童の放課後や長期休暇の居場所として、自由に遊んだりリラックスしたりできる空間の提供や、運動やスイミング・トランポリン・ダンス、楽器を習うなどの特別プログラムを実施する場合もあります。

 ■レスパイトケアの提供

 レスパイトとは、休息・息抜き・小休憩といった意味です。レスパイトケアとは、乳幼児や障害児・者、高齢者の介護や世話を一時的に施設が代行し、家族が休んだり、リフレッシュする機会をつくることです。家族にもリフレッシュや休息は必要です。その時間を利用し、普段できないことをしたり、自分のために時間を使うことで、ストレスの軽減を図り、子どもと向き合えたり、前向きに関われる力を復活することにレスパイトケアの意味があります。保護者の同伴が不要な放課後等デイサービスが多くなりました。保護者は、子どもが放課後等デイサービスを利用している間に、仕事や家事をする、自分の時間を別のことに使う(美容院に行く等)ことができます。

3 職員はどんな?

 保育士もしくは児童指導員が一人以上、児童発達支援管理責任者が一人、その他に設備や人材管理を行う施設管理者が一人いるのが基本の最小職員構成です。

保育士は、国家資格を持ち、子どもの支援や療育を実際に行う人です。

児童発達支援サービス管理責任者は、放課後等デイサービスに通う児童に対して個別支援計画を作成します。子どもの支援が適切に行われるように管理する人です。児童発達支援サービス管理責任者になるには、法令が定める基準をクリアし、研修を受け、各都道府県、政令指定都市から資格を付与される必要があります。

施設管理者は、保育士、児童発達支援サービス管理責任者などの人材管理や、事務などを行う人です。

以下は、児童発達支援サービス管理責任者の資格要件等をまとめた資料です。ご確認ください。

障害福祉サービスにおける サービス管理責任者について|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000106771_1.pdf

 

4 放課後等デイサービスの利用方法について

  (1)利用回数

 利用回数は、受給者証によって一人一人受けられるサービスの量が決められています。子どもの状況や環境、利用意向などをふまえて受給者証の申請時に審査が行われ、ひと月に使える日数の上限が受給者証の発行時に決定されます。その定められた範囲内で、必要なサービスを組み合わせて利用計画が立てられます。

子どもの興味や、発達状況に合わせて様々な施設を組み合わせていくことが可能です。必ずしも複数の場所に行く必要もありません。子どもの障害特性や集団適応に合わせ、一週間のスケジュールを組むとよいでしょう。

  (2)一週間の流れ(例)

<小学校高学年の児童の一週間の場合>

習い事型のA施設・・月の週1回 15時~17時、療育型のB施設・・・水・土の週2回(15時~17時)、レスパイトのC施設・・日の週1回(10時~17時)学校のない土・日は、午前中から夕方までプログラムを組んでいる放課後等デイサービスが多いです。この時間を利用し公園へいったり、遠足に行ったり、買い物や調理などをする施設もあります。

5 費用

 放課後等デイサービスは障害児通所給付費の対象となる障害福祉サービスです。受給者証を取得することで国と自治体から利用料の9割が給付され、1割の自己負担でサービスが利用できます。利用した日数に応じた1割負担分の利用料を支払いますが、前年度の所得によりひと月に保護者が負担する額に上限が決められているので、利用する日数が多くても下記の金額以上の負担は発生しません。また、自治体によっては独自の助成金がある場合もあります。確認しましょう。

■所得ごとの負担上限月額

原則一割負担です。前年度の年間所得によっては負担額が0円であったり、1割以上の場合もあります。

生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯: 0円

市町村民税課税世帯(前年度の年間収入がおおむね890万円以下の世帯): 4,600円

上記以外(前年度の年間収入がおおむね890万円を超える世帯): 37,200円

(※2020年4月現在)

■そのほかの費用

 施設によってはおやつ代や制作物の材料代、外出交通費などの実費がかかるところがあります。

■食費の減免

 通所施設を利用する場合、食費の減免(食減)があります。障害児の通所施設については、低所得世帯と一般1は食費の負担が軽減されます。低所得世帯は2,860円、一般は5,060円、一般(軽減なし)は11,660円となります。

これらも、自治体により独自の助成制度がありますので、ご確認ください。

障害児の利用者負担|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/hutan2.html

*児童発達支援(就学前の日中支援)と放課後等デイサービスの併設している施設や、通所の種類(経営母体の違いで、放課後等デイのみの企業、放課後等デイを含めた療育をしている企業、介護サービス会社の一環としての放課後等デイなど様々)が異なる施設で利用料にオプションサービスとして違いがある場合もあります。一人一人違いますので、必ず利用料は確認しましょう。

 

6 放課後等デイサービスのこれからの傾向について

 (1)特徴の打ち出せる施設が生き残る時代に

 これからの放課後等デイサービスの傾向として、デイサービス内容の違いから、多機能型もしくは、特化型のサービスへと二極化する傾向があります。

 多機能型はサービスメニューを様々そろえ、児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問事業と幅広く事業メニューをそろえていく方向です。近年は学習塾や補習塾などが福祉サービスの経営に関わり、大手企業がフランチャイズ化して事業展開をしている放課後等デイサービスも出てきています。一方、体操教室や美術教室が特化し、運動メニューをそろえている放課後等サービスとか、造形のメニューをそろえた放課後等デイサービスも増えてきています。

 平成24年から8年余りで、今や小学校区に1か所の割合に迫るほど、事業所が増えてきました。特徴を出しきれない事業所や職員スタッフが揃えられない施設は厳しい運営を迫られたり、やむなく廃業する施設もあります。

 報酬加算やサービス管理責任者の更新研修制度も変ってきており、数年後には施設の運営も厳しくなる。また、少子高齢化の流れの中で、新規施設は需要に合わないということで、自治体からの認可が下りないことがあるかもしれません。特徴のある施設が生き残れるのです。

 (2)アフターコロナは新生活様式を取り入れた施設に

 放課後等デイサービスは、この新型コロナの流行に伴い、学校等休業期間中の日中活動場所の受け入れという重大な役割を担ってきました。子どもたちの社会活動を止めないため、感染症対策をしながら手探りで子どもたちを受け入れてきた英知を、次のサービスの内容に反映していくことが大事と考えています。

 3密を避ける通所形態とはどんなものなのか?コロナに関する慰労金や各種補助金の最大限の活用は?これから起こるであろう事務処理要領の見直しと報酬改定は?アンテナを高くして施設運営も見直しをしていく時代に突入したと考えます。各種研修が延期や中止になってくることも予想されます。

こちらの障害者総合支援法等関連研修のお知らせ(最新情報)もご確認ください

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shinsho/shienhoukanrenkensyu/minasama.html

 施設関係者の型で、施設運営、職員研修等に関する相談や悩みがございましたら、ぜひご連絡ください。解決の糸口を一緒に考えましょう! 

 

 

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公認心理師 社会福祉士 星 茂行

公認心理師 社会福祉士 星 茂行

大卒後、福祉指導員としてに東京都特別区に入区、通所更生施設、心障会館を経て、保育所・幼稚園の障害児巡回指導を担当。臨床発達心理士、社会福祉士資格を取得。子ども発達センターににて、発達段階がわかるアセスメント表の開発、感覚と運動の視点による手作り教材を作成し始める。就学支援シートと成育歴ファイルの開発を中心的に行う。区立教育委員会に異動。学齢期版就学支援シートを開発、知能検査、専門家チーム派遣、リソースルームの設置を進める。平成26年東京都特別支援教室モデル事業に関わる。「切れ目のない支援」「教員が動く」「巡回心理士派遣」「専門員の設置」などを検証し、乳幼児期から学齢期までのアセスメント表などの各種様式の活用により、小中学校を中心とした年間100件の訪問、保護者を交えたケース検討会を実施。延べ10年間2000ケースの支援計画・個別指導計画の作成助言を行う。平成28年すべての区立小中学校に特別支援教室を設置。平成30年障害福祉課に異動。公認心理師資格取得。権利擁護、障害者虐待、差別解消法相談窓口相談。区立自立生活支援センター所長。福祉施設との連携が必要と感じ、令和2年4月より発達障害福祉サービスコンサルタントとして開業。現在、一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構代表理事。目白大学、白百合女子大学、東京未来大学非常勤講師。茨城県母子保健センター相談事業心理専門員として活動中

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